岐阜スゥープス大きな一年生の一年


今シーズンからバスケットB3リーグに参戦している岐阜スゥープス。去年11月から始まったレギュラーシーズンは12勝24敗で8位で終えた。目標としていた勝率5割には届かなかったものの、当初、関係者からは「5勝がいいところ」「そもそも勝てるのか?」と言われていたことを考えれば、まずまずの成績だったと言えるだろう。

しかし何よりも良かったと言えるのは、多くのブースターを集めることに成功したことだ。レギュラーシーズンの最終節の2日間は、なんと1126人と1075人の観客がスゥープスのバスケットを楽しんだ。シーズン途中、なかなか集客が伸びない時期もあったが、当初の目標としていた4桁越えを達成。大観衆が一斉にマッチデーを掲げる「ゴールドフィンガー」は圧巻だった。

さらにボランティア方々の献身的なサポートもあった。朝早くから会場の設営、準備をし、試合後の撤収作業も大変だったに違いない。試合中、観客席の後ろで必死に応援している姿も良かったし、その数もどんどん増えていった。

思い起こせば去年の3月、アマチュアのクラブチームとして最後の試合となった「全国クラブバスケットボール選手権」で優勝を果たし、B3への切符をほぼ手中にしてからちょうど一年が経過した。大きな変貌を遂げたこの一年を、選手たちはどんな思いでいるのだろうか。総仕上げとなるファイナルステージを前に、選手たちに振り返ってもらった。

#8田中昌寛選手

#8田中昌寛「あの優勝から一年ですか。感慨深いですね。クラブ時代も応援してくれる人は多かった方だと思いますけど、いまはもう計り知れないくらいの人たちが応援してくれるようになったし、もちろん感謝の気持ちを持って戦っています。その分、負けた時が今まで以上に、本当に悔しいと思っていますね。クラブ時代はいい意味で、大会ごとにリセットできましたが、B3は毎週試合があって、どう気持ちをコントロールすればいいのか、正直、自分たちはこんなに負けたことがなかったので、その修正力を学ぶ年として考えています。この一年は充実していたし、厳しかったという感覚もあるし、ただ全然納得できていません。僕らは負けて終わるチームじゃないと思っているので、今後選手が入れ替わっても、そういった精神は次の世代にも繋いでいきたいです。」

#33杉本慎太郎選手

#33杉本慎太郎「“全クラ”で優勝したからといってB3で通用するとは思っていなかったので、シーズンの最初の頃は不安が大きかったですね。負け試合が多くなって、でもこんなに応援してもらえるとは全く思っていませんでした。SNSで見たんですが、『スゥープスは勝っても負けても温かいチームだ』という書き込みがあって、それが僕の心の中には刺さっています。もともと僕たちはずっと仲良くやってきたので、それが一番笑顔になれる部分だと思います。本当は勝利を届けられるのが一番良いなと思っています。ファイナルステージはより多くの勝利をブースターさんに届けたいですね。この一年は悔しいのも楽しいのも全部味わいました。気持ちも強くなったと思います。自分が成長しているなと感じているので、今後もそうありたいと思います。」

#15小椋信吾選手

#15小椋信吾「正直なところ、自分たちの試合にお金を払って見に来ていただけるということに、まだ違和感を感じていますね。1000人をこえたのも、営業も運営もみんなが頑張ってやってくれているおかげです。僕らはただプレーするだけなので、それでみなさんが観て喜んでもらえるならプレーヤー冥利に尽きると思いますし、こういう環境は誰もが経験できるものではないのでとても感謝しています。プロになるという目標を立ててから、正直、あっという間でした。ただ誇りに思っているのは、自分たちがやってきたことは間違いではなかった。初めは全国でナンバーワンのクラブチームを作ろうと集まったチームで、それを達成できたことは大きな財産になっています。その結果、応援してくれる方々が集まって、プロチームになったわけですからね。ただ1000人集まっても試合は負けてしまった。やっぱり上位チームとはまだ差があるなとは感じています。だから観客が集まっていただくことが目標ではなく、観てもらって喜んでもらえることを目標にしています。それで2000人、3000人と集まってもらえればいいですね。うちはずっと同じメンバーでやってきたチームなので“あうん”の呼吸が武器だと思います。それだけでは勝てないですが、そこをもっと見せられたらと思います。」

#10犬飼啓介選手

#10犬飼啓介「クラブチームの時は個人として頑張っていましたが、これだけの人たちに応援してもらっている分、プレーの一つひとつ、行動の一つひとつにおいても自覚を持って過ごさないといけないという点が、この一年で一番変わったことですね。バスケット自体はクラブ時代と変わっていません。プロになって中途半端なことはできない、という気持ちが自分の中にはあって、僕は仕事の日数も減らして、朝から個人トレーニングをするなど、自分自身がやれることをやっています。準備もせずにコートに立つのは絶対にダメだなと。自分のバスケット人生じゃないですか。それを終えた時にどれだけ頑張ったか言える人生でありたいし、中途半端にやったらもったいない。仕事をしながらだからと言い訳せずに、これからもやりたいですね。」

#3園田大祐選手

#3園田大祐「ケガで今節は出れませんでしたけど、1000人以上集まってくれて本当にうれしいです。自分たちがバスケットを通してやってきたことが、ちょっとずつ認知されて、こうして頑張っているチームがあるんだなと、認められつつあるのかなという感じがしています。ただやっぱりこうした試合で勝たないと、というのはありますけど。優勝から一年たって、去年までは自分のためにやっていたバスケットでしたけど、いまは応援してくれている人のためにという気持ちになっていますね。本当にこんなにたくさんの人たちが来てくれるようになるとは想像もできなかったので、応援してくれる人たちのために、次も観たいと思ってもらえるプレーをして頑張りたいと思います。」

#25中野大介選手

#25中野大介「応援してくれている人の気持ちにこたえるためにも一生懸命やっていますが、負けが続いて本当に申し訳ない気持ちでいます。ただ自分たちがどういうバスケットをすれば勝てるのか、どういうときに負けるのかははっきりわかってきたので、その辺は修正してファイナルステージに臨みたいです。この一年は、180度変わりました。すごく幸せを感じていますし感謝の一言です。いままでは自分が楽しむバスケットでしたけど、今は観られている分、意識を高く持って、プロチームとしての自覚を持って練習から取り組まないといけないと思っています。まだまだ目指しているところは遠いですけど、気持ちをさらに高く、強く持って、観に来てくれる人にどんな形でも、少しでも感動を与えられるようにやっていきたいです。」

#17杉本憲男選手

#17杉本憲男「こういう中でバスケットをさせてもらえると、夢にも思っていませんでした。最初に思っていた以上に力を貸してくれる人も多くて、負けても『次頑張ろう!』と前向きな言葉ばかりだし、力を貸してくれるというよりは一緒に戦ってくれているという感覚です。この一年で自分の意識もだいぶ変わりました。今までは自分が、自分がという性格で、試合に出られないと、もやもやすることもあったんですけど、そういうレベルじゃないな、というのをすごく感じていて、自分だけじゃない、チームだけじゃない、岐阜県としてバスケットをさせてもらっていると思ってプレーするようになりました。10年後に試合を観に来た時に、娘に『岐阜のバスケットチームの一番最初に俺はいたんだよ』と胸を張れるチームにしたいので、一番最初のいまが一番大事だと思うんです。まわりの人たちに支えてもらっていることを感謝するのが当たり前のチームでありたいし、ボランティアの人たちは、仕事じゃないし、お金をもらえるわけじゃないし、僕らを応援したいっていう気持ちをエネルギーにしてやってくれているじゃないですか。それを思うと胸が熱くなります。選手だけじゃなくて、ボランティアも運営も関わった人全員が、良いシーズンだったと喜んでもらえるようにファイナルステージも頑張りたいです。」

細田英樹社長「この一年は感慨というより、突っ走ってきたという表現が一番正しいですね。正直、何かを味わっている暇はひと時もなかったです。興行をしながら次の興行の打ち合わせをして、絶えず何かをやりながら次のことをしています。最終節1000人以上入りましたが、まだディフェンスコールやオフェンスコールを一緒にやっている人が少なくて、これをどうしたらもっとたくさんの人が一緒にできるか、これまで1000人を入れたいと思っていたのに、入ったらまた違う欲が出てきました。ファイナルステージのホームコートもすべて冠スポンサーがついてくれました。その縁で初めてバスケットを観るお客様もたくさん来るので、どうしたらリピーターになってもらえるか、経営者として考えないといけないと感じています。これまで試合を運営してきて、サッカーのFC岐阜さんにすごく助けられていると感じています。それはスポーツを応援するという文化が、FC岐阜さんのおかげで先にできていた。これが大きかったですね。ボランティアもFC岐阜でやっていてオフシーズンだからこっちに来た、という人もいらっしゃいます。岐阜のスポーツは悪くないというところをFC岐阜さんと一緒にやっていけるといいなと思っています。スポンサーさんも順調に増えています。それは選手であったり、ブースターであったり、ボランティアのみなさんが、みんなで試合会場をいい雰囲気にしてくれていることが、スポンサー増につながっていると思います。それが一番すごいことです。絶対にバスケットは良いコンテンツになると思います。来年もその部分はすごく楽しみです。」

投稿者:

斎藤 孝一

名古屋市在住のスポーツライター。TV局の番組制作で長年取材してきた、岐阜のスポーツ選手の魅力を伝えたいとこのサイトを立ち上げました。大垣ミナモソフトボールクラブやハンドボールの飛騨高山ブラックブルズ岐阜、バスケットのGIFU SWOOPSなどを中心に、いろいろな岐阜のスポーツ情報を紹介していきます。

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