ブラックブルズ対メイプルレッズ戦コメント

1月28日 飛騨高山ブラックブルズ岐阜10-14広島メイプルレッズ

試合後の監督選手のコメント

山川監督「勝てた試合だった」「相手は走るチームでそこをどう対応するかがカギだった。追いついてすぐに逆転されたのが精神的にも良くなかった。あそこで落ち着いて試合ができれば。ずっと1点差、2点差でリードしていたかった」「ディフェンスは機能している。そこまで点数を取られないが自分たちが得点できないところがキツイ。そこがいつも課題」「自分たちがやりたいことは明確になって来たと思う。今日の試合は勝たないといけなかった」

陣野瞳キャプテン「相手のエースがいないことは試合前に分かったが、いてもいなくても自分たちのプレーをしようという話をして試合に挑んだ」「昨日(北国銀行戦)良い試合ができて自信になったが、結局1試合を通して自分たちのハンドができなかったことが反省点だった。でも今日の試合も一緒。波があるチームだとわかってはいるが、常に高いところで出来るように一人ひとりが意識しないといけない」「相手の点数を10点以下に抑えないと勝てないのは痛感している。オフェンスでもうちょっとシュートにまで持ち込めるように力を上げたい。でもなかなか40メートルの練習がなかなかできないので」

田口舞「相手のエースがいなかったから絶対に勝たないといけない試合だった。でも負けて悔しかった。10点しか取れないのだったら自分が5点に抑えるしかない」「圧勝はできないけど絶対に勝てたはず。相手の気持ちより自分たちの気持ちが弱かった。ハーフタイムに『今のままじゃ後悔するからやり切ろう』と言って、それで変わった選手もいたが、チームとして変わらなかった。今日の負けは善戦ではない」「練習での熱量は上がってきていると思う。負ければ負けるほどみんな頑張ろうという気持ちになっている。でも試合で出さないとダメ。もっと練習がしたい」

金恩恵「自分たちが挑戦する気持ちで一つになってやろうとしたが、良いところまで行ってもミスが出て自分たちで崩れてしまった。相手が退場した時に1点でも入れば良かったが、そこでもミスが出てしまった」「逆転のシュートは相手が低くなった隙を見て狙った。たまたまいいシュートになった」「逆転していい流れになったが、その後もう1点入れれば自分たちのペースになっていたと思う。今日は速攻になかなか行けなかった」

友野優子「みんなでフォローしあってディフェンスできたところは良かったが、ここと言う時にボールを抑えることができなくて、60分間戦い続けることがすごく大事だと改めて感じた」「一人ひとりが自分の役割をわかってきたこと、池之端さんが戻ってきて機動力が生まれ、精神的にも余裕ができたことはディフェンスとして大きい。ただそこに頼ってばかりではいけないと思う」「自分たちの形が出たことは強みになる。それを自信に繋げていくことが大事。60分間徹底して自分たちのハンドをやり続けることが、今までもこれからも課題だと思う。残り6試合で一つでも多く勝てるように、60分間みんなで闘い切れるように頑張りたい」

 

 

 

痛恨の逆転負け それでも前を向いて ブルズ広島戦

日本ハンドボールリーグ女子(1月28日)大垣市総合体育館

飛騨高山ブラックブルズ岐阜10-14広島メイプルレッズ

「絶対に勝たないといけない試合だった」「勝てた試合だった」監督や選手の試合後のコメントに悔しさがにじみ出ていた。後半開始直後に一旦はリードしたブルズだが、良い流れの時に追加点を奪えずミスから連続失点を喫し逆転負け、痛い黒星を喫した。

8位のブルズ対2位の広島。しかしブルズは前日王者北国銀行と敗れはしたが前半9-9の接戦を演じ調子は上向き。対する広島はエースが不在と上位進出のためには格上でも勝ち点を取りたい相手だった。

「相手のエースがいなくても自分たちのプレーをしよう」(主将・陣野)と試合に挑んだブルズ。自分たちの特長である粘り強いディフェンスを武器にロースコアに持ち込みたい。序盤に3連続失点で後手に回ったが、相手の動きに慣れ守りが機能し始めると徐々に反撃。23分には陣野がポストシュート、29分には金がGKの手を弾くシュートで一点差に迫る。その直後の相手のシュートはGK田口が左足を伸ばして好セーブ。5-6とリードはされているが1点差で前半を折り返す。

ブルズらしい展開かと思ったが、先手を取れない状況に危機感を感じていた田口は「このままだと後悔するからやり切ろう」とハーフタイムにチームメートに檄を飛ばして後半に入った。するとすぐにオフェンス陣が発奮する。後半開始1分で和田が7メートルスローを決めて同点、3分には金が中央からシュートを突き刺し遂に逆転した。ブルズディフェンスは前半と合わせておよそ20分間相手に得点を許さず完全に流れはブルズのものだった。

しかしその次の得点が決まらない。やきもきしていると7分にシュートが相手のGKに止められ、そこから一気のカウンターで追いつかれてしまう。これで浮足立ったブルズはミスを連発、およそ8分間で5失点を喫し試合の主導権を逃がしてしまった。

その後ブルズは終盤に宮崎と陣野のシュートで2点差まで迫るものの、広島に逃げ切られ勝てそうな試合を落とした。

「ディフェンスは機能している。いつもの課題だが、自分たちが得点を取れないところがキツイ」と山川監督。タイムアウト等で守備を立て直すことができたが、この日は得点につながる速攻が少なく、オフェンスではブルズの良さを見せることができなかった。

ハンドボールやサッカーもそうだが、リアクションである守備は、ある程度ベースを作る事ができる。だが攻撃はその一瞬のひらめきやコンビネーションが大切。この日は繋ぎの部分でミスが多かった。個々の目を合わせるにはどうしても時間がかかるし、練習を積み重ねることでしか合ってはいかない。今後は練習量をなんとか増やして小さなミスを減らしていくことが必要なのだろうと感じた。

リーグ戦は3回目の対戦が始まり残り6試合。4位までのプレーオフ進出はなくなったが、熱のこもった良い試合をしているだけに一つでも多く勝つことで来季につなげたい。

 

重圧を乗り越え掴んだ勝利

1月8日(月・祝) 飛騨高山ビッグアリーナ

〇ブラックブルズ 17-11 アランマーレ●

波に乗れそうで乗れず、勝てそうで勝てなかったアウエーHC名古屋戦から2日。飛騨高山ブラックブルズ岐阜の今年最初のホーム戦は、12月の日本選手権で勝利を収めているプレステージ・インターナショナル・アランマーレが相手。リーグ戦でも8位とすぐ上の順位につけるだけに「勝ちたい」ではなく、まさに「勝たねばならない」プレッシャーの中での闘いだった。

しかし、その2日前の試合でエース金恩恵が負傷し、万全からは程遠い状態。これまで以上に選手一人ひとりの奮起が求められた。

「内容にこだわらず責任を感じて、1点差でもいいから勝ちに行け」と選手を鼓舞した山川監督。選手たちもそれに応えた。

宮崎亜紀穂選手

エースの負傷に「自分がやらなきゃ」と発奮したのは宮崎亜紀穂。先制を許したもののすぐにGKの位置をしっかり見極め同点となるシュートを決める。さらに友野優子の逆転ゴールを挟み、宮崎は得意の「ボールの出所が分からない」ミドルシュートを突き刺しリードを広げた。

積極的な守備も光った。特にGKの田口舞は試合前に「この試合は止めまくりますよ」という宣言通り、ファインプレーの連続で相手にゴールを許さない。開始33秒で失点は喫したものの、そこからおよそ14分間ゴールを与えなかった。

序盤から5-1とブルズが完全に試合の主導権を握る展開だったが、得点のチャンスを逃していると次第に波がアランマーレに傾き始める。すると14分からおよそ2分30秒の間に3連続失点、ブルズは1点差に迫られてしまった。

比嘉美咲紀選手

しかしそこで流れを取り戻したのはサイドの比嘉美咲紀。「オフェンスのミスで相手に攻められるパターンだったので、とりあえず落ち着いて1本取り戻そう」と、パスカットからの速攻を確実に決めると、中島紗里奈も続き、さらに再び田口の好セーブからの速攻を比嘉(美)が決めて、相手の気勢を削ぐことに成功した。

10-6と4点のリードで折り返した後半もブルズのペース。GKを中心に厳しい守備で相手に得点を許さず、コツコツとゴールを重ねる。全員でゴールを守り、全員でゴールを奪うブルズらしいハンドボールを展開し17-11でタイムアップ。2018年の初勝利をホームのプレッシャーの中で掴み取った。

陣野瞳キャプテン

「今日はみんなが、自分のやるべき役目をしっかり果たしてくれた。みんなが頑張ってくれてやっと掴めた白星」と、キャプテンの陣野瞳。また山川監督は「とりあえず良かった」とほっとした様子ながらも「ファンも選手もこの1勝を待っていたんだろうと感じた。でもこれで終わりじゃないので」と、すぐに次の戦いに目を向けた。

次戦は13日に熊本でオムロンとの対戦。上位相手だがこのアランマーレ戦で自分たちがやらなければならないことは明確に見えてきた。この日の貴重な勝利をきっかけにリーグ後半戦での巻き返しが期待される。

監督選手コメント

山川由加監督

山川監督「今日は内容より勝つこと、ファンの皆様に喜んでもらうことがテーマだったので、勝ってくれた選手にありがたいと思っています。内容的には文句をつけたいところも多いけど、よく踏ん張ってくれた」

 

陣野瞳キャプテン「とりあえず一安心。やっぱり心のどこかに不安があって、名古屋戦で勝ち切れなくて悔しかったし、今日はみんなで勝たなきゃと、いつもは感じないプレッシャーを今日は感じていた。みんなが気持ちを出してプレーしてくれたのが良かったと思います」

 

宮崎亜紀穂「両親も岩手から見に来ていたし、たくさんの人が応援に来てくださるので勝ちを何とか届けたいという思いもあったので、最初から飛ばそうと思っていました。思い切りプレーできて良かったと思います。流れが悪いと感じる中で得点を決められましたが正直、入ってよかったとちょっとほっとしています」

比嘉美咲紀「絶対に勝たないといけない試合だったので、チャンスがあったら飛び込んでシュートに持ち込もうと思っていました。チーム全体が悪かったら金さんが出る予定だったので、でもここで出たら足の状態が悪くなってしまうので、そのためにもみんながしっかり守って点を取って、金さんに休んでもらうために頑張ろうと言っていました」

田口舞選手(左)と和田育子選手(右)

田口舞「やっと勝った。うれしいというより安心しました。いつもいろんなことを考えるのですが、結局シュートを止めないと勝てないという所に一回戻って、自分は止めることだけを考えてプレーしました。(池之端)弥生が帰ってきてその分心強いし、もっと(連携が)合っていくと思うので良くなっていくと思います」

1部定着のカギを握るオランダ代表エース

「地域密着、1部定着」を合言葉に2018年シーズンをスタートした大垣ミナモソフトボールクラブ。今シーズン最も注目を集めるのが新加入のオランダ代表エース、エヴァ・フォールトマン選手だ。合流は今月下旬、その前にどんな選手なのか、新加入記者会見でのコメントと共に紹介していきたい。

エヴァ・フォールトマン選手は1992年11月29日生まれの25歳。身長174センチの左投げ左打ちで、オランダではオリンピア・ハーレムに所属している。持ち球は104キロのストレートとカーブ、スライダー、チェンジアップ、ドロップ、ライズボールと多彩。打者としても左右に打ち分ける打撃を得意としている。

オランダナショナルチームには2014年から選ばれ、2014年の世界選手権では6位に、16年の世界選手権では4位に入る原動力となった。また2010年にはオランダのベストユースピッチャーに、2016年のヨーロッパカップウイナーズカップではベストピッチャーに選ばれている。

エヴァが日本での挑戦を決めた理由は「世界一のソフトボール大国であり、この先、上を目指していくためには、海外でプレーするしかない」と自らが成長するためのチャレンジだと強調。日本代表とは世界選手権前の練習試合で対戦経験があり「いつもの力では歯が立たない」という印象を持っているそうだ。

大垣ミナモ入団の経緯は、夏ごろに栗山部長の知人から「オランダ代表で日本でプレーを望んでいる選手がいる」と紹介があり、1部昇格決定後、来日して入団テストを実施。到着翌日に行われた韓国ナショナルチームとの練習試合で、4回を投げ打者13人に対して8奪三振、自責点0失点0と好投。溝江監督も貴重な戦力になるとすぐに合格のサインを出した。「武器となるストレートにキレがある。チェンジアップでストライクが取れ、ライズボールで三振を奪っていたのが印象的だった。すごく陽気ですぐにチームに溶け込んでいた」と溝江監督は韓国戦でのエヴァの印象を語る。

エヴァは「来日してすぐ次の日の試合だったので時差の関係でもっと大変だと思いましたが、すんなり投げることができました。オランダのリーグ戦が終わって練習を始めたばかりですが、そんなにトレーニングしていない割には気持ちよく投げられました」と韓国戦での感想を述べた。

その時のチームの印象は「とにかく陽気でやる気がある選手がたくさんいる。速さがあって驚いた」と言う。

今後は1月下旬にチームに合流し、3月~6月は1部リーグでの公式戦。6月中旬からオランダのオリンピア・ハーレムで世界選手権に向けた準備に入り、8月2日~12日は千葉県で行われる世界選手権、8月20日~25日は欧州オリンピックプレミアカップに出場の予定。その後9月から再び日本リーグに参戦する。

「ミナモが1部に残留できるように少しでも貢献したい」とエヴァ。「勝利に結びつくピッチングをすることが大事だといつも考えています。三振にこだわらず、例えばゴロに打たせて取るような1つずつアウトをしっかり取ること、試合の流れやチームメートの調子によって投げ分けたい」とピッチングでのこだわりを語ってくれた。

また打撃もオランダリーグで4割を打つなど力を持っている。登板の無い時には外野手として打撃面でも期待できる。2018年がエヴァにとって大垣ミナモにとってエキサイティングなシーズンになることを願ってやまない。

 

精神的支柱の復帰でブルズに光は射すか

日本ハンドボールリーグ女子 17週第1日(1月6日) ブラザー体育館

HC名古屋 19-17 飛騨高山ブラックブルズ岐阜

 今季のリーグ戦はここまで1勝11敗、9チーム中9位と苦しむ飛騨高山ブラックブルズ岐阜。2018年の初戦は6位HC名古屋と対戦したが、最後の追い上げも及ばず17-19で痛い星を落とした。しかしチーム創設以来、屋台骨を背負ってきた池之端弥生が10か月ぶりに復帰。リーグ後半戦へ向け反攻の手応えを掴んだようだ。

「ゲーム内容としては狙っていたようにできた」とキャプテンの陣野瞳。0-2とビハインドの3分39秒に左の角度のないところから陣野がシュートを決めて、2018年最初のゴールを奪う。その後は一進一退の攻防。取られたら取り返すという時間が続いた。名古屋の2連続得点で4-7とリードを広げられても、ブルズは和田育子のミドルシュートと金恩恵の相手DFの隙を突いた巧みなシュートで連続得点を挙げ追いすがる。見事なシュートで勢いに乗るかと思われたが直後に3連続失点。「打たせたシュートが入ってしまったり、オフェンスで簡単なミスが出てしまったり、そこがまだ甘い所」(陣野)と、前半を11-14で折り返す。

後半は両チームのDFが激しさを増し、ゲームが動いたのは5分を過ぎてから。HC名古屋が2分間退場による数的有利を生かし得点。ブルズはセットオフェンスに苦戦し11分まで得点できなかった。それでも当たりを戻したGK田口舞の好セーブや池之端を中心とした守備陣が踏ん張り、相手にも得点を与えない。金の7メートルスローで2点差に詰め寄るが、名古屋はタイムアウト直後に3連続得点、リードをこの日最大の5点とする。

それでもブレーク期間中に「とにかく最後まであきらめないで、どんどん自分たちのプレーをやって行こう」と話し合っていたブルズは、24分に山中亜津沙のシュート、陣野の3得点で追い上げ、高山から遠征した多くのファンに意地を見せたが、ここで無念のタイムアップ。追いつけそうで追いつけない、じりじりとした展開で2018年初戦を勝利で飾ることはできなかった。

復帰初戦となった池之端弥生選手

試合後、復帰初戦の池之端は「前半失点が多く、やってきたことがなかなかできませんでした。チームが苦しい状況で勝ち負けだけじゃなく、チームに足りない気持ちの部分を伝えられたらと思います」と、今後の戦いに向けての気持ちを語った。またその池之端のプレーを見て主将の陣野は「個人的には池之端さんが復帰してくれたので、自分の心に余裕もあったし、休める時間もあった。今までより落ち着いて試合ができた。それで最後に点数を取りに行けたと思う」と、敗戦の中にも確かな手ごたえを感じたようで、GKの田口も「DFの基本ができているイケの復帰は大きい、まわりのフォローも出来るし声もかけられる」と守備力のアップに期待を寄せる。

ブルズの次の試合は8日(月)相手は今季から日本リーグに参戦するプレステージ・インターナショナル・アランマーレ。先月行われた日本選手権では25-16と大差で勝っている。油断は禁物だが、2018年の初勝利をホームで飾りたい。

 

監督選手コメント

山川由加監督

山川監督「19点は取られ過ぎ、相手のサイドシュートが入り過ぎだった。勝てるかなと思った矢先に(金)恩恵がねん挫をしてバタバタしてしまった。切り替えて8日の試合に挑みたいです」

 

陣野瞳キャプテン

陣野瞳「今日も勝って8日も勝って2018年は良いスタートをという思いで頑張ったんですが、ホームで勝つことが一番大事だと思うので、切り替えて頑張って行きたいです」

 

 

GK田口舞選手

田口舞「自分たちの流れになりそうな所でミスが出たりして手放すことがあって、試合のコントロールができなかった。DFは機能している部分があったのでもう少し私が止めないといけなかったと思います。8日は負ける気がしないです。今はみんなに闘いに行こう、チャレンジしようという意識があるので、皆で前を向いて進んでいこうとと思います」

池之端弥生「自分のためではなく、チームのためになることを100%やるということを考えたいと思います。プレーや声でチームを一丸にするようにどの試合も頑張りたいです」

 

1部昇格という功績を遺しエースは後進に夢を託す

2015年、静岡県伊豆市の天城ドーム。1部チームとの入れ替え戦に敗れた大垣ミナモソフトボールクラブのエース山田麻未は、順位決定節で敗れ涙した前年とは違う気持ちで敗戦を受け入れようとしていた。

「また1年か」

これまでで最も手応えを感じたシーズンだった。1年間、厳しい練習を自らに課しソフトボールに打ち込んできた。それでもあと一歩、目標に届かなかった。あきらめてもおかしくない状況でエースは再び自らを奮い立たせた。それはなぜか。

福岡県出身の山田。小学生の頃に地域のこども会で行うソフトボールが楽しくてしょうがなかった。中学に上がると部活動として本格的にソフトを始める。その後兵庫県にある強豪の神戸親和女子大を卒業し、1部のデンソーに入社。しかし日本最高峰の舞台は甘くなかった。在籍した3年間でリーグ戦での登板はなし。大好きだったソフトが嫌いになりかけたこともあった。

そんな時、日本リーグに参入することを決めた大垣ミナモから声が掛かった。「試合で投げたい、1部に昇格してデンソーと闘いたい」と移籍を決意、働きながらソフトボールをすることになった。

14年、15年と2部のグループセクションで首位。しかし最後の壁に阻まれ昇格を逃す。それでも所属する企業を始め、地域の人たちから「がんばって」と励ましの言葉を受け続けたと言う。この頃から山田にインタビューをすると、以前とは違う言葉が返ってくるようになった。「応援してくれる人たちと共に1部昇格を果たしたい、みんなで喜び合いたい」自分のためではなく、みんなのために。この心境の変化がその後の山田の原動力となる。

2017年10月24日、2年前涙した天城ドームと同じ敷地内にある野球場。この日行われる2試合を2連勝しなければ1部昇格出来ないという、崖っぷちの状況に大垣ミナモはあった。負けの許されない初戦のマウンドに立っていたのはベテランエースの山田だった。

2点をリードした2回。2死3塁からヒットを打たれ1点差に詰め寄られる。3回、4回にも走者を得点圏に置くピンチ。山田は大きな声を出し気合いを入れ直す。気迫のこもったボールがキャッチャーミットに吸い込まれ、相手に得点を許さない。その後も走者は出すものの本塁は踏ませない粘りのピッチング。負けられない闘いで見事120球を投げ抜き完投勝利を飾った。

勝てば1部昇格となる決勝戦。マウンドには新人の竹原由菜。午前中の試合で完投した山田はベンチで戦況を見守る。力投した竹原だったが4回に逆転満塁ホームランを打たれてしまう。リリーフしたのは若い裁ひかる。3年間、山田の背中を見てきた裁は強力な相手打線を無失点に抑える。その間に味方打線が逆転、大垣ミナモは悲願の1部昇格を果たした。そして、若い二人の力強い投球を見て山田は引退を決意したと言う。

「見守ってくれると感じるだけで1つも2つも強くなれた。ミナモは本当に幸せなチームだと思う」と山田は笑顔で話す。5年間、苦しい時の方が多かったと思う。やっと1部昇格という果実を手にしたが、1部で勝利する夢は後輩に託した。

17年シーズンで引退を決めた4選手

「1部で投げたいという気持ちだけだったら、もうとっくに辞めていました。ミナモの一員になれたこと、ミナモに来て投げる楽しさ、苦しさを感じることができたこと、沢山の人に応援され支えられたこと、全てに感謝しかありません。昇格した瞬間、やっと恩返しできたと思いました」

ちなみに山田の17シーズンの成績は、プレーオフも含め6試合に登板し5勝0敗。登板数と勝利数は減ったが、防御率は0.97と過去最高の成績だった。

スポーツをする人にとって、オリンピックで金メダルを取るという夢もあれば、1部昇格を果たすという夢もある。状況、立場によって夢は変わるだろう。山田麻未が悔しさを乗り越え成し遂げた1部昇格という夢、その達成感はこの上ないものだったに違いない。そして大垣ミナモというチームの夢はまた違うものになった。それを成し遂げられるためにもさらに応援する人が増えていってほしい。