1部定着のカギを握るオランダ代表エース

「地域密着、1部定着」を合言葉に2018年シーズンをスタートした大垣ミナモソフトボールクラブ。今シーズン最も注目を集めるのが新加入のオランダ代表エース、エヴァ・フォールトマン選手だ。合流は今月下旬、その前にどんな選手なのか、新加入記者会見でのコメントと共に紹介していきたい。

エヴァ・フォールトマン選手は1992年11月29日生まれの25歳。身長174センチの左投げ左打ちで、オランダではオリンピア・ハーレムに所属している。持ち球は104キロのストレートとカーブ、スライダー、チェンジアップ、ドロップ、ライズボールと多彩。打者としても左右に打ち分ける打撃を得意としている。

オランダナショナルチームには2014年から選ばれ、2014年の世界選手権では6位に、16年の世界選手権では4位に入る原動力となった。また2010年にはオランダのベストユースピッチャーに、2016年のヨーロッパカップウイナーズカップではベストピッチャーに選ばれている。

エヴァが日本での挑戦を決めた理由は「世界一のソフトボール大国であり、この先、上を目指していくためには、海外でプレーするしかない」と自らが成長するためのチャレンジだと強調。日本代表とは世界選手権前の練習試合で対戦経験があり「いつもの力では歯が立たない」という印象を持っているそうだ。

大垣ミナモ入団の経緯は、夏ごろに栗山部長の知人から「オランダ代表で日本でプレーを望んでいる選手がいる」と紹介があり、1部昇格決定後、来日して入団テストを実施。到着翌日に行われた韓国ナショナルチームとの練習試合で、4回を投げ打者13人に対して8奪三振、自責点0失点0と好投。溝江監督も貴重な戦力になるとすぐに合格のサインを出した。「武器となるストレートにキレがある。チェンジアップでストライクが取れ、ライズボールで三振を奪っていたのが印象的だった。すごく陽気ですぐにチームに溶け込んでいた」と溝江監督は韓国戦でのエヴァの印象を語る。

エヴァは「来日してすぐ次の日の試合だったので時差の関係でもっと大変だと思いましたが、すんなり投げることができました。オランダのリーグ戦が終わって練習を始めたばかりですが、そんなにトレーニングしていない割には気持ちよく投げられました」と韓国戦での感想を述べた。

その時のチームの印象は「とにかく陽気でやる気がある選手がたくさんいる。速さがあって驚いた」と言う。

今後は1月下旬にチームに合流し、3月~6月は1部リーグでの公式戦。6月中旬からオランダのオリンピア・ハーレムで世界選手権に向けた準備に入り、8月2日~12日は千葉県で行われる世界選手権、8月20日~25日は欧州オリンピックプレミアカップに出場の予定。その後9月から再び日本リーグに参戦する。

「ミナモが1部に残留できるように少しでも貢献したい」とエヴァ。「勝利に結びつくピッチングをすることが大事だといつも考えています。三振にこだわらず、例えばゴロに打たせて取るような1つずつアウトをしっかり取ること、試合の流れやチームメートの調子によって投げ分けたい」とピッチングでのこだわりを語ってくれた。

また打撃もオランダリーグで4割を打つなど力を持っている。登板の無い時には外野手として打撃面でも期待できる。2018年がエヴァにとって大垣ミナモにとってエキサイティングなシーズンになることを願ってやまない。

 

1部昇格という功績を遺しエースは後進に夢を託す

2015年、静岡県伊豆市の天城ドーム。1部チームとの入れ替え戦に敗れた大垣ミナモソフトボールクラブのエース山田麻未は、順位決定節で敗れ涙した前年とは違う気持ちで敗戦を受け入れようとしていた。

「また1年か」

これまでで最も手応えを感じたシーズンだった。1年間、厳しい練習を自らに課しソフトボールに打ち込んできた。それでもあと一歩、目標に届かなかった。あきらめてもおかしくない状況でエースは再び自らを奮い立たせた。それはなぜか。

福岡県出身の山田。小学生の頃に地域のこども会で行うソフトボールが楽しくてしょうがなかった。中学に上がると部活動として本格的にソフトを始める。その後兵庫県にある強豪の神戸親和女子大を卒業し、1部のデンソーに入社。しかし日本最高峰の舞台は甘くなかった。在籍した3年間でリーグ戦での登板はなし。大好きだったソフトが嫌いになりかけたこともあった。

そんな時、日本リーグに参入することを決めた大垣ミナモから声が掛かった。「試合で投げたい、1部に昇格してデンソーと闘いたい」と移籍を決意、働きながらソフトボールをすることになった。

14年、15年と2部のグループセクションで首位。しかし最後の壁に阻まれ昇格を逃す。それでも所属する企業を始め、地域の人たちから「がんばって」と励ましの言葉を受け続けたと言う。この頃から山田にインタビューをすると、以前とは違う言葉が返ってくるようになった。「応援してくれる人たちと共に1部昇格を果たしたい、みんなで喜び合いたい」自分のためではなく、みんなのために。この心境の変化がその後の山田の原動力となる。

2017年10月24日、2年前涙した天城ドームと同じ敷地内にある野球場。この日行われる2試合を2連勝しなければ1部昇格出来ないという、崖っぷちの状況に大垣ミナモはあった。負けの許されない初戦のマウンドに立っていたのはベテランエースの山田だった。

2点をリードした2回。2死3塁からヒットを打たれ1点差に詰め寄られる。3回、4回にも走者を得点圏に置くピンチ。山田は大きな声を出し気合いを入れ直す。気迫のこもったボールがキャッチャーミットに吸い込まれ、相手に得点を許さない。その後も走者は出すものの本塁は踏ませない粘りのピッチング。負けられない闘いで見事120球を投げ抜き完投勝利を飾った。

勝てば1部昇格となる決勝戦。マウンドには新人の竹原由菜。午前中の試合で完投した山田はベンチで戦況を見守る。力投した竹原だったが4回に逆転満塁ホームランを打たれてしまう。リリーフしたのは若い裁ひかる。3年間、山田の背中を見てきた裁は強力な相手打線を無失点に抑える。その間に味方打線が逆転、大垣ミナモは悲願の1部昇格を果たした。そして、若い二人の力強い投球を見て山田は引退を決意したと言う。

「見守ってくれると感じるだけで1つも2つも強くなれた。ミナモは本当に幸せなチームだと思う」と山田は笑顔で話す。5年間、苦しい時の方が多かったと思う。やっと1部昇格という果実を手にしたが、1部で勝利する夢は後輩に託した。

17年シーズンで引退を決めた4選手

「1部で投げたいという気持ちだけだったら、もうとっくに辞めていました。ミナモの一員になれたこと、ミナモに来て投げる楽しさ、苦しさを感じることができたこと、沢山の人に応援され支えられたこと、全てに感謝しかありません。昇格した瞬間、やっと恩返しできたと思いました」

ちなみに山田の17シーズンの成績は、プレーオフも含め6試合に登板し5勝0敗。登板数と勝利数は減ったが、防御率は0.97と過去最高の成績だった。

スポーツをする人にとって、オリンピックで金メダルを取るという夢もあれば、1部昇格を果たすという夢もある。状況、立場によって夢は変わるだろう。山田麻未が悔しさを乗り越え成し遂げた1部昇格という夢、その達成感はこの上ないものだったに違いない。そして大垣ミナモというチームの夢はまた違うものになった。それを成し遂げられるためにもさらに応援する人が増えていってほしい。

 

 

 

 

2つの昇格を喜びながら思うこと

この秋、岐阜県内の2つのチームが上位カテゴリーへの昇格を果たした。バスケットボールの「SWOOPS」とソフトボールの「大垣ミナモ」。B3と1部、いずれも来季から夢の舞台へと挑戦の場を移す。

非常にうれしいことだが心配ごともある。当然ながら上位カテゴリーで戦うためには戦力の増強が必要となる。目標達成のために共に戦った功労者でも、戦力外となるケースがあるかもしれない。

過去にそうした選手の声を聞いたことがある。クラブはプロ化へと舵を切ったが、レギュラーとして活躍していたその選手は、プロとしてプレーする意思がなかったため、突如クビになってしまった。その後、彼は仕事とスポーツを両立できるチームを見つけることができず、プレーを辞めざるをえなかった。「昇格とか、出来る限りの力は尽くして来たけど、一方的に辞めさせられて応援なんかできないですよ」とその言葉が悲しかった。

スポーツにおいて厳しい面があることは重々承知である。でもあきらめてもらう時に、これまで力を尽くしてくれた選手が悲しい言葉を発しないような、自分のいたチームをずっと誇りに思ってもらえるような、そんなコミュニケーションを取っていれば、彼はそのチームを応援していたかもしれない。

SWOOPSはB3で戦うチームの他に、これまでと同じように全国を目指すチームを作る(残す)計画もあるという。素晴らしいことだと思うし、ぜひ実現させてほしい。県内無敵、全国でもクラブチームトップクラスのこのチームがB3に昇格できるのは、これまで関わってきたすべての選手の力があったからこそ。彼らの活躍の場を奪うことなく、共に前に進むことができるのが一番良い。

プレーしたい人が納得するまでプレーできる環境が整うこと、様々な立場の人があらゆるスポーツに取り組むことが簡単にできること、そして頑張る選手に夢を託し応援できること、それがスポーツを日本の文化にする一歩だと思う。

 

大垣ミナモ1部昇格喜びの声

来季1部昇格を勝ち取った大垣ミナモソフトボールクラブ。その喜びの声をお届けします。

溝江香澄監督 「優勝するイメージはしていた。自分たちで掴み取った勝利なので嬉しい。満塁ホームランを打たれても私が諦めた表情を見せたり、もう無理だと思ったりするとそれは選手に伝わる。そもそも選手たちは諦めていなかったし、自分もプレーできない分、戦っていると声をかけて同じ気持ちで戦えた。打席で結果を出せたこと、それぞれがこの試合に向けて調整し、選手としての責任を果たしてくれたことが一番の勝因」

柳田優香主将 「この日のためにやってきた、本当にうれしい。正直最後まで必死だった。みんなを信じてやってきて良かった。今思えば、1部に上がれなかった4年間の経験が大きかった。3回挑戦して上がれなくて、だから今があると思う。ソフトボールをやっていて良かった。支えてくれた家族、会社の人たち、地元の人たちに感謝の気持ちでいっぱい」

山田麻未投手 「うれしいの一言。勝った瞬間は一番にマウンドに行った。このみんなで勝てたことがうれしくて、ほっとしたという気持ちが一番。これまでも1年1年勝負をかけて挑んでいたが、今年はすごくチャンスだと思っていて、群馬で負けて不安ばかりだったけど、ここまで来たら勝つしかないと、そういう気持ちでマウンドに立ったし、大事な試合を任されたことがうれしかったので、感謝の気持ちを出せたのが結果につながったと思う」

川端めぐみ外野手 「全然実感がない。このチームに入って5年、やっとですね。満塁ホームランを打たれても、こっちの勢いは止まらないと思っていたので、絶対追い越せると、勝つイメージしかなかった。チーム全員でやっている所が今年のチーム。一丸となっている時は強い。やめた人も応援してくれて、ここにこれなくてもメッセージをくれた、その力も大きかった」

粕谷朋世内野手 「めっちゃうれしいです。2年前はこうやって大量リードで勝っていた中で逆転されたので、自分たちは気が抜けないという思いで見ていた。目標を達成しほっとしている」

小泉ゆい内野手 「5年目でやっと1部に行けて、ずっとそれを目指してやってきたので、やっと叶ってめっちゃうれしい。大垣大会では打てなかったのでここで打てて良かった。誰が活躍とかではなくみんな。ランナーで自分が出たら敏子が返してくれたのでうれしかった」

小泉あい内野手 「うれしいです。言葉が出ません、うれし過ぎて。ここまですごく苦しかった。もう辞めたいというくらい苦しんで、結果が出なくて代えられて悔しかったし、複雑な一年間だった。ゆいと2人で達成できて幸せ、親に感謝したい」

永沢杏奈内野手 「やっと勝てた。最後アンが出てきた瞬間に涙が出てきてこらえきれなかった。これまで同期がいなくていろんなことを話せる人がいなくて、つらかったというかさみしくて、でもソフトボールが好きだからやってこれたと思うし、これだけ応援してもらっているので。会社の前社長には毎節来てもらっているので本当に感謝しかない。その前で決められて本当にうれしい」

兼益明日香外野手 「ホームランはあんまり覚えていない。前の打席でファールばかり打っていたので、とりあえず中に入れと思っていた。全部のストライクを振っていたので、それがあの打席に生きたと思う。これまで3年間悔しい思いをして、会社に申し訳ないと思っていたが安心して報告できる」

谷口敏子内野手 「うれしいけど実感がない、全然ないです。ここまで来るのに時間がかかって、しんどかったので余計実感がないんだと思う。何回もあきらめようと思ったことがある。4番でいるのに結果が出ない。でも4番を打たしてもらっているというのがしんどかった。今日はみんなのおかげで打てたと思う」

奥あかね外野手 「まだ実感がわかない。ケガでちょっと複雑な気持ちはある。本当にうれしいけど、ちょっと悔しい気持ちもある」

裁ひかる投手 「リリーフ登板は本当に緊張した。でも練習試合で抑えていたのでいいイメージができていた。キャッチャーと自分が近くに感じられて投げやすかった。我慢、我慢のシーズンだったけど最後の大一番で投げられて、勝利投手になれてすごくうれしい。これを自信にしてどんどん登板回数を増やしていきたい」

竹原由菜投手 「守っている時にみんながまだまだ大丈夫と声をかけてくれて、その分自分自身自覚を持って投げた。コースが良くても力でもっていかれることもある。回転を意識して投げたい。1部では何を投げても挑戦の気持ちでいきたい。そこで自分に何が足りないのかわかってくる」

下條さくら外野手 「うれしい。先輩たちの姿や言葉からどうしても1部に上がるというのがみんなの中にあった。2月にチームに合流した時から共有してきて、ついにやっと成し遂げられた。1部に上がったら全員総力でがんばりたい」

平川穂波捕手 「1年間、この試合に勝つためにやってきたので、その目標を掴み取れて良かった。ずっと相手ピッチャーをイメージして振り込んできたので、自信を持って打席に立てた。来年は1部なのでこれほど勝てるか分からないですが、目の前の試合を全員で勝に行きたいと思う」

 

日本リーグ参戦5年、悲願の1部昇格 大垣ミナモ

ついにやった!日本女子ソフトボールリーグ2部の大垣ミナモは、24日に静岡県・天城ふるさと広場野球場で行われた昇格決定試合で、NECプラットフォームズを10-6で下し、来季の1部昇格を決めた。クラブチームが1部リーグに参戦するのは50年の歴史を持つソフトボールリーグで初の快挙。これまで1部の壁に跳ね返されること3度、4度目の正直で地元企業10社が支えるチーム、そしてファンの夢がかなった。

14日の試合で敗れ、1部昇格にはこの日行われる2試合で、2連勝するしかなくなった大垣ミナモ。初戦の相手は2位同士の対戦で勝ち上がってきた静甲。勢いのある相手に対し大垣ミナモは初回から攻勢をかける。

この日1番に入った平川がストレートの四球で出塁すると、2番の小泉ゆいがレフト前に技ありのヒットで続く。3番の兼益はきっちり送りバントを決め1死2、3塁とすると、主砲4番谷口がライト前に痛烈なタイムリーヒット、流れるような攻撃で大垣ミナモが2点を先制した。

2回表に1点を返されたその裏の攻撃、1死満塁のチャンスを作り3番の兼益。こちらも速い打球が三遊間を抜き1点を追加。3-1とリードを再び2点差とする。

大垣ミナモの先発はエースの山田。3回ヒットとエラーで無死1、3塁のピンチを迎えるも後続を抑え得点を許さない。4回にも自らのエラーでピンチを招くものの、粘りの投球で相手をねじ伏せる。「負ければ終わり」という剣が峰の一戦。1部昇格に強い執念を見せる山田の投球が光った。

試合はそのまま3-1で大垣ミナモが勝利。わずか3安打ながら効率的な得点で昇格決定戦にコマを進めた。

そして午後に行われた昇格決定戦、先発の竹原は初回「緊張した」と3者連続四球で1点を失ってしまう。しかしその裏、大垣ミナモはランナーを2塁に置いて、4番谷口のヒットですぐさま同点に追いつく。更に2回裏には2死2.3塁で1番平川がセンター前に2点タイムリー、3-1と2点のリードを得る。

しかしNECも黙ってはいない。4回表、2死から2塁打と2つの四球で満塁のチャンスを作ると、NEC1番和田はフルカウントから内角のボールを捉える。これがセンターオーバーのホームランとなり、NECが一挙に試合をひっくり返した。

何としてでも1部に昇格したいと粘る大垣ミナモ。相手に傾きかけた試合の流れを取り戻したのは、今季クリーンアップに抜擢された3番の兼益。5回裏、2死から小泉ゆいがヒットで出ると、「打てる球は何でも打とうと思っていた」という兼益の当たりは、打った瞬間にそれとわかるツーランホームラン。5-5と大垣ミナモが試合を振り出しに戻す。

勢いに乗った大垣ミナモ6回裏、代打井上のヒットをきっかけに、小泉姉妹と兼益のタイムリーなど打者一巡の猛攻を仕掛け一挙に5点を追加。投手陣は5回から3年目の裁が好投、2回3分の2を無失点で切り抜けると、最後はチョウアンジュが締めて10-6で大垣ミナモが勝利、悲願の一部昇格を果たした。

劇的な逆転勝ちに「実感がわかない」と溝江監督や選手たち。これまで3年連続ではじき返されていた1部昇格という壁を突破し、選手たちの顔には安堵の気持ちと、笑顔がはじけていた。

(喜びの声は明日にまとめて更新します。なお動画を撮影していたため写真がありません。あしからず)

 

2度追いつくも勝利ならず大垣ミナモ順位決定戦

14日に群馬県館林市で行われた日本ソフトボールリーグ2部の順位決定戦。アドバンスセクション1位のNECと対戦したホープセクション1位の大垣ミナモは、2度のビハインドを追いつく粘りを見せたが2-3で惜敗した。

大垣ミナモの先発は、リーグ戦の防御率が0.61で2位の新人・竹原由菜。「1部にいたチームを相手に挑戦しようという気持ちで挑んだ」が、初回1死2.3塁のピンチを迎えると、犠牲フライで先制を許してしまう。

しかし大垣ミナモもすぐに取り返す。2死2塁から4番谷口敏子のタイムリーヒットですぐさま同点に追いついた。

大垣ミナモは守備でも魅せる。2回2死3塁のピンチに相手の打球は左中間へ。「センターが見えなかったので自分で行くしかない」と飛び込んだのはレフトの兼益明日香。地上すれすれのダイビングキャッチが見事に成功して相手に追加点を許さない。

それでもアドバンスセクションをダントツで勝ち上がったNECは3回表に1点を取ると、大垣ミナモは「自分の仕事をしただけ」と谷口が再びタイムリーヒットを放ち、試合を振り出しに戻した。

その後「徐々にドロップが良くなった」と竹原はランナーを出しながらも粘りの投球でNEC打線を抑える。しかし大垣ミナモもチャンスに1本が出ず2-2のまま最終回に。

7回表NECの攻撃、ヒットのランナーをワイルドピッチで2塁に進めると、2死2塁で6番・園田の打球はピッチャー竹原のグラブを弾く。ショートの小泉ゆいがすかさずカバーし、1塁に送球するものの間に合わず、その間に2塁ランナーがホームを陥れ、大垣ミナモは三度目のリードを許してしまった。

後のない最終回の攻撃は、1死から3番兼益がヒットで出塁。谷口が死球で1死1・2塁のチャンスを作るが、後続が倒れ試合終了、3-2でNECが1位同士の決戦を制した。

国体予選で7-0と大敗したNEC相手に、接戦に持ち込んだ溝江監督は「自分たちのミスで試合を落とした。勝つことのできる試合だったので反省して次につなげたい」と選手たちの健闘を評価、次戦への意欲を見せた。

しかし翌日の15日はグラウンドコンディション不良のため、大垣ミナモ対2位同士の対戦を制した靜甲の対戦は行われず24日に順延に。大垣ミナモはその試合で勝利すれば、昇格決定戦で再びNECと対戦することになり、勝てば悲願の1部昇格を果たせる。手応えを感じた館林大会、雨天中止を恵みの雨として、この試合で出た課題を解消し、是が非でも1部昇格を果たしたい。

(映像取材をしていたため、今回写真がありません。もし撮影していて「使っても良いよ」という方がいらっしゃいましたら、お借りできたりするとありがたいのですが…)

 

昇格を賭けた戦いへ 大垣ミナモ山田麻未

「100球すべてに気持ちを込めたい」

大垣ミナモのエース・山田麻未は、今週末に行われる1部昇格を賭けた戦いに向けて決意をそう語った。彼女にとって決戦の舞台は今年で4度目。これまですべてに悔し涙を流してきた。

小学生の頃、年に1度行われる子供会のソフトボール大会が楽しみでしょうがなかった。中学に上がると満を持してソフトボール部に入部。毎日の練習が楽しかった。大学まで続けた後も「まだソフトを続けたかったし、レベルの高いところでやりたかった」と、1部の強豪・デンソーへと進む。

しかしデンソーには日本代表やアメリカ代表の投手が在籍、なかなか登板機会を得ることができなかった。「自信を無くしかけていた」と当時の揺れる気持ちを語る。

そんな山田に声をかけたのは、大垣ミナモの伊藤良恵元監督だった。大垣ミナモが1部昇格を目指すためにはその力が必要だと伊藤は元同僚の山田を熱心に勧誘した。「もっと試合で投げたい、もう1回チャレンジしたい」と、山田は2部の大垣ミナモへの移籍を決意する。

「最初は自分が1部に上がってデンソーを倒したいという思いだった」と山田。14年には8勝2敗でグループセクション初優勝。15年も16年もエースとして八面六臂の活躍でグループセクション3連覇に導いた。しかし昇格を賭けた最後の順位決定戦や入れ替え戦で、1部の高い壁に夢の昇格は阻まれた。その苦い経験が山田の心に変化を与える。

「大垣ミナモの周りが見えるようになってきて、熱心に応援してくれる人たちや支えてくれる人たちのことがわかるようになりました。あと一歩で昇格を逃しても『がんばれ!がんばれ!』と私たちの背中を押してくれる。今はその人たちと喜びを分かち合いたいし、その人たちの思いに応えたい、本当にそれだけです。自分が1部に上がりたいという思いだけだったら、もうとっくに辞めていると思います」

悲願の1部昇格へ向けて、練習も佳境を迎えた今週、OGの姿が浅中公園にあった。斎藤妃さんは岐阜国体のメンバーで内野手として活躍した大垣ミナモの1期生。選手を引退後はマネジャーとしてもチームを支えた。2年前にチームを離れたが、今回少しでも助けになればと練習の手伝いにやって来た。「グランド内で選手同士の会話が増えている気がしますね。監督もそうだし」と今年のチームの印象を語ってくれた。実は斎藤さんは山田と同い年、山田はいつも斎藤さんのかつて付けていた背番号「15」が入った帽子を被り試合に挑んでいる。

「これまでのOGが頑張ってくれたことで、大垣ミナモがある。そういう気持ちをちゃんと受け継ぎたいし、3年前、4年前に一緒に悔しい思いをした選手たちが減っているので、そういう選手がいるうちにその悔しさを晴らしたい、早く昇格しないと価値が下がってしまう」と山田は投球練習にも熱が入る。

その姿を見つめるOGの斎藤さんは「自分自身に自信を持ってやってほしい。周りは意識せずに悔いが残らないように、このチームこのメンバーでソフトをするのは最後になるかも知れないので、どんな形にせよ全力を出し切ってほしい」とエールを送る。

『4度目の正直』としたい昇格を賭けた順位決定戦。14日の相手はアドバンスセクション1位のNECプラットフォームズ。去年は1部にいた実業団チームだ。「1球1球悔いなく投げ切ること、自分の気持ちを込めて、仲間の思い、応援してくれる人たちの思いを込めて投げていきたい」と山田。ひと際大きくなった声援を受けて今度こそ1部への扉を開く。

 

 

大垣ミナモ 首位で順位決定戦へ

女子ソフトボールの日本リーグ2部ホープセクション最終節が、23日と24日大垣市の浅中公園で行われ、大垣市の大垣ミナモソフトボールクラブは総合成績10勝2敗で首位となり、来月行われる順位決定戦で、アドバンスセクション首位のNECプラットフォームズと対戦することになった。ミナモがグループセクション首位に輝くのは4年連続、今年こそ順位決定戦で勝利し、悲願の1部リーグ昇格を達成してほしい。

23日の試合で勝利し、優勝に王手をかけた大垣ミナモ。24日の第1試合は、前期に13-1と大勝しているペヤングが相手だった。

大垣ミナモの先発はエースの山田麻未。2回表、ペヤングの5番磯貝の打球はライトの下條が目測を誤り2塁打に、更にフィルダースチョイスも絡み1死2・3塁のピンチとなる。しかし山田は緩急をつけたピッチングで後続を断ち、仲間のミスを帳消しにする。

 

打線は3回ウラ、2死満塁のチャンスを作るが、3番・兼益明日香の打球は快音を残しセンターの頭上を襲うが、フェンス手前で失速し得点を挙げることができない。

「前期はたくさん点を取ってくれたので、楽な展開で投げられるかと期待していた」と言う山田だが、思わぬ膠着状態に「この流れは1点を取られたらまずい、締めるところは締めないと」と気持ちを改め、7回を2安打1四球というほぼ完ぺきな投球で味方の援護を待つ。

7回裏のミナモの攻撃は、2死から8番の粕谷朋世がサードへの強襲ヒットで塁に出る。打席には9番の小泉あい。前日3つの送りバントを決めボールが見えていた小泉あいだが、ここで不思議な感覚が頭の中に広がる。

小泉あいと小泉ゆいは双子の姉妹。今月1日の厚木大会で、同じ7回に妹のゆいが、2死1塁で同点タイムリーヒットを打っていた。「厚木大会のゆいの打席が頭の中でフラッシュバックして、良いイメージというか、ゆいの感覚が乗り移ったように打てました」

あいの打球は、ゆいのそれと同じように左中間を割り、1塁から代走の鈴木かやがホームを駆け抜けて大垣ミナモがサヨナラ勝ち。今季もグループリーグを首位で終えた。

溝江香澄監督は「ほっとしました。犠牲心を持ってやってきたことで最後のヒットにつながった」と殊勲打の小泉あいを称える一方で、「山田が踏ん張った。ピッチャーが困ったら野手が助け、バッターが打てなかったらピッチャーが踏ん張る。そういう強さが出てきた」と、悲願の1部昇格に向けてチームに手ごたえを感じたようだ。

 

またこの日、山田の投球を支え続けたキャッチャーで主将の柳田優香は「この厳しい試合を順位決定戦に繋いでいくことが大事。全員総力でモチベーションを上げていきたい」と、チーム一丸となって1部昇格を狙う強い思いを語ってくれた。

大垣ミナモ セクション首位に王手

23日に行われた日本女子ソフトボールリーグ2部ホープセクションで、首位の大垣ミナモは2位に付ける愛知県のドリームシトリンと対戦し4-1で勝利。24日に行われる残り2試合で1勝すれば、セクション首位としてアドバンスセクションとの順位決定戦に挑むことが出来る。アドバンス首位に連勝すれば悲願の1部昇格だ。

 

大垣ミナモの先発は防御率チームトップの竹原由菜。打たせて取るピッチングで上々の滑り出しを見せる。

3回表ミナモの攻撃は、1年前この大垣大会で大ケガを負った8番粕谷朋世が、左中間へのツーベースヒットで出塁。小泉あいが丁寧に送ると、ワンアウト3塁で郡上市出身の1番下條さくら。溝江香澄監督は2-2からエンドランのサインを出すものの、下條が空振りの三振。代走の鈴木かやも三本間に挟まれダブルプレー、先制のチャンスを逸した。

しかし5回表、先頭の田島萌愛がインコースのボールを叩き、ライトオーバーのホームラン。更にフォアボールとフィルダースチョイスで出たランナーを、またも小泉あいがしっかり送りバントを決めランナーを進める。1死2,3塁と追加点のチャンスに先ほどは三振の下條。「監督に打てと言われて、その言葉が力になった」と、相手投手の2球目を捉えると、打ってすぐにそれとわかる3ランホームラン。ミナモはこの回4点を先制する。

リードをもらった5回裏、竹原は連打でワンアウト2,3塁のピンチを迎えると、9番打者に内野安打を打たれ1点を失う。それでもすぐに切り替え後続を抑えると、最終回にランナーを出しても落ち着いたピッチングで1失点の完投。

去年の大垣大会から公式戦3連敗中だった苦手ドリームシトリンを倒し、ホープセクション首位に王手をかけた。

コメント

溝江香澄監督

「5-0、6-0ともっと得点を取りたかったけど、勝ててほっとしています。3回の攻撃はエンドランのサインを出しましたが、自分が1点を取りたいと焦ってしまって、下條の良さを消してしまったかなと思います。次の打席もカウント次第ではスクイズもというのは頭にありながら、基本『打ち』だからと言ったら2球目にあんな特大のホームランでびっくりしました。(あいの犠牲バントは)かなり大きい。自分の中では打ちたいと思うけど、自分の役割をしっかり身を挺して、犠牲心を持ってやってくれた。それがチームメートに浸透しているので次のバッターが『点を取るんだ』という気持ちになってくれるんだと思います。久しぶりに大勢の観客の中でソフトボールが出来ました。大勢の中での采配は初めてなので嬉しく思いました。お客さんには勝ちでしか恩返しができないので、何とか勝ちたいと、何度も客席を見返していました。選手たちも普段やっていることを見てもらえる喜びを感じていたと思います」

竹原由菜:完投勝利

「立ち上がりは悪かったところもあったけど、後半からライズも上がってきてどんどん力が出せたと思います。野手に打たせて取るというピッチングを目指していたので、それができてうれしかったですね。この試合は前から『自分が投げるんだ』と思って練習してきました。初めて大勢の中で投げて最初は緊張したけど、だんだんと慣れてうまく投げることが出来ました」

田島萌愛:先制ホームラン

「流れをこちらに持ってきたかったので、繋ぐバッティングを意識して打席に入りました。当たった感じではライトフライかなと思ったんですが、風もあったしみなさんの応援のおかげで伸びました。インコースのいつもは打ち損じる高さのボールだったんですけど、監督にアドバイスをもらって、自分の中で整理をしてバットを振ったので打てたと思います」

小泉あい:犠牲バント3-3で成功

「あれが私の仕事です。普段バントしか練習していないので(笑)。バントは自分でも不安なんですが、いつも練習でピッチャーに全力で投げてもらっているので、どうにか決めたいと思っていました。今日は3本も決められてうれしいです。またチーム一丸となってドンドン盛り上げて、リズムよく行けたら勝てると思います」

 

下條さくら:3ランホームランで追加点

「思っていた以上の応援でそれを力に変えられたと思います。前の打席で失敗をして、みんなが『気にするな、切り替えろ』と声をかけてくれて、溝江監督から『さくら、打って来い』と言われたのでその言葉が力になりました。インコースは打てないけど、アウトコースは打ち損じがないように練習してきました。そのアウトコースに来て打った瞬間というより、スイングをしたときにいい感じに振れたので、押し込んでもうホームランだとわかりました。地元郡上の小学生や合宿の時に教えた子供たちも来てくれたのでうれしかったです」

ソフトボール大垣大会 新人たちは

女子ソフトボール2部の大垣大会が23日から行われる。1部以上に盛り上がるこの大会、まだ未体験の新人選手たちは、今どんな心境でいるのか、またカギを握る地元選手に話を聞いた。

「先輩から、1部でもないくらいお客さんが入ると聞いているので、どれくらい入る楽しみです」と言うのは新人捕手の平川穂波。リーグ戦のデビューとなったペヤング戦で、満塁ホームランを放つなど大舞台に強い選手だ。

「会社(西濃運輸)からも試合があるたびに、『頑張って』と支えてもらっているし、理解してくれている。応援に来てくれるので、これだけやっているという姿を見せたい。その声援に後押しされて、自分の役割をしっかり果たしたい」と言う。

 

「親も見に来ると言っていたので、いつも見せない姿を見せたくない気もするけど、でも気にせず投げます」と、思春期のようなことを口にしたのは竹原由菜投手(イビデン)。鹿児島県出身でここまでホープセクションでは防御率1位と、抜群の安定感を見せる。大垣大会でも当然登板のチャンスがあるはずだ。

「開幕の頃のように完璧とは言わないまでも、任されたイニングは0点で抑えるようないいピッチングをしたい。チームとしては全勝、そのままの勢いで順位決定節に行きたい」と意気込みを語る。

郡上市出身で、ここまで3安打、1ホームランを放っている下條さくら外野手は「今まで試合をしてきて、自分の役割はわかっているつもり。チャンスを作る1本、チャンスで打つ1本、やり切って勝ちたい」と、とにかく結果にこだわる姿勢をみせる。

「地元なのでワクワクした気持ち、会社(大垣共立銀行)の人に声をかけられることも増えてきた。グランドの周りが全部ミナモの応援団になると聞いているので、緊張しないように、声援を力に変えていけたらと思います」

緊張する新人たちと対照的に落ち着きが出てきた選手もいる。2年目の田島萌愛外野手(日本耐酸壜工業)だ。

「地元でもあるし、応援してくれる方が見て楽しめる試合がしたい」と、これまでチーム最多のヒット(27打数10安打)を放つスラッガーは語る。さらに「スタメンで出る以上、自分が中心になってやってやると思ってプレーしています。1試合に1本では足りない、もっとチャンスメークしたいので、2本3本と毎打席でヒットを打ってチームの流れを引き寄せたい」と、中心選手としての自覚も芽生えてきた。

23日は前半戦で唯一の黒星を喫したライバル・ドリームシトリンとの対戦、24日はペヤング、東海理化とダブルヘッダーで試合が行われる。ホープセクションの順位が決まる第4節大垣大会、ぜひごひいきの選手と共に、大垣ミナモの新人と地元選手に注目して欲しい。